当院の歯周病治療の特徴
いとう歯科医院は、日本歯周病学会の認定医・指導医・専門医が在籍しており、患者さんかかりつけの医療施設との医療連携もおこない糖尿病など持病のある患者さんでも安心して通院できます。特に指導医は全国で200人程度しかおらず、その指導を基本に、世界的に認められているゴールドスタンダードの歯周病治療をおこなっております。
また、専任の歯科衛生士が治療にあたりますので『予防』・『歯周基本治療』・『再発防止』はもちろん、『歯周外科』のみならず『歯周組織再生療法』まで含めた、総合的な歯周病治療をおこなうことができます。
歯周病かも!?自己チェックリスト
歯科の二大疾患である虫歯と歯周病。歯周病は、一昔前は歯槽膿漏と呼ばれていました。現代の日本人の国民病であり実に成人の8割近くが歯周病に罹患しています!!
そして歯を失う原因も1位となります。
以下の項目で当てはまるものはありますか?
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯みがきをしている際に歯茎から出血する
- 口臭が気になる
- 冷たいもので歯がしみる
- 歯がグラグラする
- 歯がのびたような感じがある・歯茎が下がった感じがする
- 朝起きた時口の中がネバネバする
- 歯石がたまっている
当てはまるものがあれば、歯周病の可能性が考えられます。自分でもチェックできるので是非調べてみてください。
歯周病について
歯周病は歯周病菌によって引き起こされる感染症です。
歯茎が腫れる病気と思われている方が多いですが、現実は歯周病菌が出す毒によって、「歯を支えている顎の骨が溶けて、失われていく」病気です。
その影響は歯や歯茎のみならず、病原菌が血流にのって全身へ移動するため、全身疾患に関わっているということが明らかになっています。日本人の主な死因、1位:ガン、2位:心疾患、3位:肺炎、4位:脳血管疾患このすべてに、歯周病が関与しているという研究報告もあります。
そして、日本の成人の80%が歯周病になっており国民病となっています。
加えて、高血圧症、高脂血症、糖尿病と同じ『生活習慣病』です。生活習慣病とは日々の生活が原因でなる病気のため、ゆっくりと病状が進行し、自覚症状が無い場合も多く、症状を自覚した際には、病気が進行している状態となっています。
定期検診を受けていることが少ない日本人は、初期の頃は歯周病であるということに気づかないことも多いですが、口臭など比較的わかりやすい症状もあるため、まず一度、お近くの歯科医院での検診を受けてみましょう。現在では会社の健診のみならず国民皆歯科検診の中にも、歯周病検診が義務付けられています。
ここまで聞くと恐ろしい病気ということがわかっていただけましたか?
いとう歯科医院では専門の歯科衛生士がいますので『予防』・『治療』・『再発防止』という総合的な歯周病ケアをおこなっています。
歯周病の進行について
歯周病はSilent desease(沈黙の病)とも言われており、基本的にどの段階となっても痛み等のわかりやすい症状がでにくいことが共通した特徴です。そのため予防をしてならないように気を付けるか、早期発見が予後の決め手となります。
また、現在の歯周病の診断は、ガンと同じようにステージとグレードで分類され、診断名がつきます。これは世界共通となっています。
歯肉炎(初期歯周病)
歯肉炎では自覚症状はほぼありません。歯茎が腫れたり赤くなったりしています、小児や若年者に多いのが特徴です。歯の根元に歯垢や歯石が少し付いた状態であればクリーニング(プロケア)とブラッシング指導をさせて頂き、日々の御自身でのセルフケアにより回復させることが可能です。この段階で歯科医院へ来ていただけると、歯を失わず良好な状態を長期的に維持することができます。
軽度歯周病
歯茎が腫れる、赤くなる、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)を磨くと血が出る、フロスを通すと血が出るなどの症状があります。歯と歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)に溜まった歯垢・歯石に歯周病菌が繁殖し、毒素を出すことにより炎症を起こし骨が溶けます。歯肉炎と歯周病の違いは骨が溶けているかどうかです、症状は似ていますが、ここからが歯周病という不治の病の始まりです。ブラッシング指導に始まり、数回の歯周ポケット内のクリーニングおよび歯石取りのように、総合的な歯周基本治療を行い、それ以降は進行防止の予防(定期健診)に努めることが大事です。
中等度歯周病
出血、強い口臭、朝起きた時に不快感を感じる、歯のぐらつきが出始めるなどの症状があります。歯周ポケットが深くなり炎症が歯の周囲の骨にも拡大し赤く腫れ上がって、場合によっては膿を出しています。
ブラッシング指導と歯周ポケットの深い部分に付着してしまった歯石を部位別に取り除く治療を行います。特に歯周ポケットが深い部分においては数回の歯周基本治療が必要となるでしょう。
また、中等度以上の歯周病の方で、歯周基本治療終了後に、歯周ポケットの深さが4mm以上残っている場合は、歯周外科治療や再生療法が適応の場合があり、それを行うことで歯周ポケットが改善し、より長期的に歯を残していける可能性が高まります。
また、中等度以上の歯周病になると治療後は、その良い状態を維持、安定させることが最も大事になります。つまり再発防止(定期的なメインテナンス)に取り組んでいくことが非常に重要です。
重度歯周病
炎症が更に進んだこの状態では歯茎が真っ赤に腫れたり、または、根の先端まで歯茎が下がってしまっていたり、化膿しているところも多くあると思われます。骨も大きく溶けてきているため歯はぐらつきます。歯周病が深刻化してしまったこの状態でも、歯周病の治療法は同じです。
検査後に、はじめはブラッシング指導と歯周基本治療をおこない、歯周基本治療による、歯の反応をみていきます。
歯周基本治療の終了後に、より改善が望める場合には中等度歯周病と同じように歯周外科処置や再生療法をおこなっていきます。
基本的には、すぐに抜歯をするのではなく、まずは、お口の環境を改善し、歯周病がコントロールできるかどうか、歯周基本治療をおこなうことで見守ることが肝心です。しかしながら、重度歯周病の場合は、他の歯へ悪影響を与える場合もあるので、基本治療開始前に残念ですが抜歯を必要とする場合もあります。また、どうしても保存して機能させる(保存して機能させるとは:歯がまたちゃんと噛めるようになること)ことが困難であったり、明らかに回復を望めないような反応が悪い場合には、歯周基本治療中に歯を抜くことになる場合もあります。
当院での歯周病の予防
正しい歯磨き:「磨いている」と「磨けている」は違う!
歯科の2大疾患である歯周病と虫歯を防ぐためには、日々の歯磨きが最も効果的な予防法です。しかし、『やっている』と『できている』は大きく違います!
上手く歯磨きができていないとプラーク(細菌汚れ)がお口の中に残ってしまい、虫歯・歯周病を引き起こす原因になります。
そのため、当院では正しく・効率的な歯磨きをできるように、プラークの染め出し(PCR)を併用した丁寧な指導を行い、患者様に効果的に汚れを落とすことが出来る歯ブラシの持ち方・動かし方を実際に練習して、お口に合った歯ブラシを勧めさせていただいております。
ただ、虫歯をつめる、かぶせるという時代遅れの歯科治療では患者様の歯を本当の意味で救うことには繋がりません。そのため当院では染め出してブラッシング指導を丁寧におこないます。
- ※染め出しで算出される数値をPCRといいます。PCRは20%以下にすることが求められます。
スケーリングとPMTCで歯の健康を維持
スケーリングとは、歯の表面に頑固にこびりついた歯垢・歯石をスケーラーと呼ばれる専用の器具で取り除くと言う治療法のことです。スケーリングを行い歯の表面をつるつるにしてあげることでは虫歯・歯周病を引き起こす原因であるプラークが付着しにくくなります。とはいえ、時間が立つと歯石は再び付着してしまうため、スケーリングは定期的に行うことが大切です。いつでもお口の中を清潔に保ち、虫歯・歯周病を予防しましょう。
歯科衛生士が行う、歯の本格的なクリーニングのことをPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。
歯の表面にこびりついた汚れを歯科衛生士が専用器具を使って1本1本綺麗に除去していきます。使うのはシリコンゴムやブラシなど、柔らかい素材で出来た器具となっており、優しい刺激で歯や歯周ポケットに付いた汚れ、着色、プラークを綺麗に落とすことが可能となっています。研磨剤を使って綺麗に仕上げ磨きも行うため、歯の表面がなめらかになりお口の中がとてもすっきりします。
歯周病の治療とは
歯周基本治療
歯周基本治療は、どの段階(歯肉炎~重度歯周病まで)であろうと、虫歯治療であっても、子どもだろうと大人だろうと、老若男女問わず、歯科医院で一番最初に行うべき治療とされています。
歯周基本治療と一言でいっても実際の治療内容や項目は多岐に渡ります。
ですが、最初に行う処置は歯ブラシ指導(TBI)とプラークの染め出し(PCR)と決まっております。
プラークは一般的な方の場合、何もしていなくても半日もすれば口腔内に蓄積します。毎日歯科医院に来るわけにはいかないので、そのプラークを、まずは自ら歯ブラシで落とせるスキルが最低限必要だからです。つまり、歯磨き『している』ではなく『できている』状態にする必要があります。
他には、PMTC、スケーリング、SRP、咬合調整、自然挺出、動揺歯の固定、かぶせ物を外し仮歯へ置き換えてよりプラークコントロールをしやすいようにしたり、全身疾患のコントロールのため医科との連携、禁煙および甘味指導、抜歯など様々です。すべてはプラークを除去して、歯周組織の炎症をコントロールするためにおこないます。
FMD(Full mouth disinfection)
全顎除菌法や全口腔一括感染除去法とも呼ばれています。1回の来院で歯周病菌に効く抗生物質を飲むのと同時に、すべての歯ならび、舌や頬粘膜をクリーニングして、歯周病菌とその住処を除去するといった治療法です。
当院では中等度以上の歯周病の方に、歯周基本治療後に希望がありましたらおこないます。
この処置は半日程度のお時間を頂きおこなう処置になります。
※FMDは非外科処置を希望の方、つまり歯周外科や再生療法を希望されない方や、全身疾患の問題やPCRが20%を下回らず外科処置が適応でない方を対象とした処置と考えております。
詳しくは来院時にお声かけ下さい。
3DS(Dental Drug Delivery System)
薬剤を用いて虫歯や歯周病の原因菌を除去する治療法です。この処置も歯周基本治療が終わった後に適応となります。なぜなら、歯周ポケットの中に歯石等の起炎物質が残っている場合はいくら薬剤をいれても浸透しないからです。
3DSは、型取りを行いマウスピースを作成します。そのマウスピース内に、歯周病菌に対して抗菌性をもつ薬剤やジェルを入れ、就寝時に装着して、それを1週間程度継続していただきます。就寝時にできない場合は日中に1時間程度おこなっていただきます。
FMDないしは歯周外科を行った後に併用し用いることで、より良い効果を発揮します。
※3DSは歯周病に限らず、同じ要領でフッ素含有のジェルを用いれば虫歯予防にも応用できます。
歯周外科処置
歯周外科処置には適応と必須条件があります。
1つめは、歯周基本治療が終わったあとの再評価の段階でも4㎜以上の歯周ポケットが残っている場合、2つめは歯周ポケットやメインテナンスで定期的に見ているけれど4㎜以上の歯周ポケットが再発してしまった場合に、適応となります。
必要条件はPCRが20%を下回っていることと、禁煙ができていることです。
また、なぜ4㎜以上かというと、日々の歯磨き(セルフコントロール)でしっかり歯周ポケット内のプラークが除去できる範囲が3㎜までだからです。
だから、4㎜を超える歯周ポケットが残っているとセルフコントロールができなくなり、歯周病が、悪化・再発して抜歯へと近づいていってしまうのです。
歯周外科処置をおこなうことによって外科的に歯周ポケットを除去することが可能になるため、より改善を見込めるような場合には歯周外科処置をおこなっていきます。数ある中で、歯周外科処置で一般的におこなわれる術式は、フラップ手術といいます。
フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
歯周外科処置で一般的に行われる治療術式の1つです。この方法が、後で記載する歯周組織再生療法の手術でも基本となります。
4㎜を越え深くなりすぎてしまった歯周ポケットがある部分は、手探りで歯石を取ることに限界があります。そのため、フラップ手術をおこないます、まず患部に麻酔をして歯茎を切開・剥離し、起炎物質(歯石やプラークや不良肉芽)を直接見えるようにした上で、徹底的に歯石・汚染された組織の除去を行い、最後に縫合をします。1~2週間で抜糸をし、3~6カ月回復を待った後に再評価を行います。
※健康保険の適応の処置となります。
歯周病の治療には大きく分けると、歯周基本治療と歯周外科処置の二つがあります。『再生療法』は歯周外科処置の1つとなります。
歯周組織再生療法
歯周治療の目的は、病気の進行の止め、健全な状態に歯周組織を回復させることです。
もし、初期の段階で歯周病に気づくことができれば、歯周外科処置をせずに歯周基本治療だけで組織の炎症をなくし回復することも可能です。
現在では、歯周組織を蘇らせる歯周組織再生治療があります。組織の再生を成功させるためには3つのものが必要です。それは、『細胞』『足場』『成長因子』の3つです。
当院ではエムドゲインやリグロスを用いた歯周組織再生療法も積極的に行っています。歯周組織再生療法は、フラップ手術と同時に『足場』や『成長因子』を使用することによって、より歯周組織を健康な状態に回復する治療法です。
エムドゲイン
エムドゲインは歯周組織再生療法において、成長因子の役割をします。
フラップ手術と同時併用し、歯根にエムドゲインを塗布する治療法です。
医療大国スウェーデン発祥で、世界的に、最も使用されている再生材料です。
30年に近い実績と、論文も多数出ており効果は確実です。
自由診療の適応となります。
リグロス
当院では、リグロスを使用した歯周組織再生療法も行っています。
エムドゲインと同じで成長因子としての役割を担っており、治療法も同じです。
歯槽骨、セメント質、歯根膜の再生を促進し、結合組織性付着を形成することで歯周組織が再生されます。
リグロスは新しい材料で、保険適応ができる治療法となります。
歯肉移植について
歯やインプラントが健康に長持ちするためには角化歯肉という良い歯茎が必要です。
歯肉移植は、歯茎が下がって見た目が悪くなってしまったり、周りに角化歯肉がなかったりした場合におこなう、歯周外科処置の1つです。
審美治療の一環でおこなう場合も多く、歯周形成外科とも言われています。
御自身の上あごの歯茎より組織を採取し、移植をおこないます。
遊離歯肉移植術(FGG)と結合組織移植術(CTG)があり用途によって使い分けます。
1回で思った以上に歯茎ができない場合は、複数回必要な場合もあります。